医王堂通信
としろぐ

ふむふむ考えるページ

2004.11.11

「ヒト」は穀食動物である?

ビタミンaが発見されてその生理作用がわかると、
学童に肝油を強制したり、国民にバターを食べよと必死で宣伝する。
やがて肝油の油の毒作用が証明され、
バターのコレステロールで動脈硬化が促進されると気づけば、
それまでは無価値だと軽視した植物油を、
臆面もなくほめたたえてカプセルに詰めて「薬」として販売する。
ビタミンbやcの場合もまったく同じことである。
リンゴやレモン、ピーマンやトマトを
ビタミンcのかたまりであるかのように迷信させているかと思うと、
次は合成ビタミンcの100mg錠を宣伝して、
腎臓結石が起こったとか、起こらないとかで騒ぐ。
ビタミンb類の宝庫である穀物の胚芽や皮質部分を勝手に捨てて、
1億潜在脚気にしてしまい、米の粕になっている白米に合成b1を添加して、
自然の玄米よりも優れた物のようにprして高価に売りつける。
分析的所見につられて生命の全体観を忘れ、
自然の秩序を破っておきながら、健康を論じ、病気を治すと錯覚しているのが栄養学らしい。
学問は日進月歩する物で、誤っていたと言って訂正すればよかろう。
しかし、相手は1人1人の国民の生命である。
誤った学説で身体を悪くされた人はどうなるのだろう。
猫の目のように変わる栄養学などに大切な生命が任されるだろうか。
ヒトの食物は歯にそのオーダーが示されているように、
穀物を60%、野菜・海草30%、動物性の食品は10%で十分である。
その材料の種類や量的バランスは、土地の条件と気候、年齢や職種によって判断する。
そのときの物差しとして、昔から「陰陽の原理」が活用されてきた。
本質的に陽性である動物の中ではなるべく陰性の物を、
陰性の植物の中ではなるべく陽性の物を食材に選べば、
全体的にみて中庸(バランスが良い)に近い陰陽の調和になる。
中庸に近い陽性と言えば、動物では白身の魚や小魚あるいは、貝類などである。
植物の中の陽性は穀物と一部の野菜である。
穀物中ではヒエ、アワ、キビなどがその形の小さい事や色から判断して米より陽性であり、
麦類は古い中国の本にも、「その性冷なり」と記されているように、米よりも陰性である。
肉食民族に小麦製のパンが、菜食民族の主食に雑穀や米が食習慣となっているところに
自然の絶妙な法則と自然人であったヒトの英知が感じられる。
「畑の肉」とも言われる大豆はタンパクの多いすぐれた豆であるが、
陰性の油の含有量が多くその形も米より大きいなど、
かなり陰性の強い物である事を知っていた古人は、
火と塩と時間という陽性加工を思いついて、味噌、醤油を創造した。
「3年味噌」「3年たくわん」「申年の梅干」などダテに尊重された「時間」の経過ではない。(時間は陽)
「健康レター、食養のすすめ」著者 河内省一 より抜粋