医王堂通信
としろぐ

自律神経失調症

2004.11.11

最近この病名は特によく聞きます。「私、自律神経失調症なんですが良いお薬がありますか?」
多い時は毎日ご相談があるくらい多くいらっしゃいます。男性もいらっしゃいますが、女性のほうが多く、16歳位から50歳半ば位までの方が多いようです。ちなみに男性は働き盛りの方が多いです。
症状をお聞きいたしますと、一番多いのが動悸、ドキドキ、不安感、胸が締め付けられる、心臓が止まりそうで怖い、等です。その他は不眠、多汗、便秘、下痢、口が渇く、頭重、頭痛、のぼせ、肩こり、抜け毛、偏頭痛、うつ、耳鳴り、微熱、風が気持ち悪いなどの不定愁訴です。
自律神経失調症は字の如く自律神経が失調している病気?ようするにバランスがくずれている状態です。
では、自律神経ってどのようなものでしょうか?
自律神経とは、おおまかには交感神経と副交感神経があります。
交感神経と副交感神経がバランスを取っていて、どちらか片方が盛んになりすぎると、その神経に関係している内臓の働きが強く出ます。なかなか表現が難しいのですが、「アクセルとブレーキ」「興奮と鎮静」「昼と夜」「緊張とリラックス」のような関係です。
この関係が時間や季節などで変動します。昼間は交感神経が盛んに働き、大昔で言えば狩りをしなければならないので、血圧は高く、興奮しやすい状態で主に怪我を治しやすい体(緊張体質)になっています。夜間は副交感神経が盛んに働きからだを休める時間なので、血圧は下がり、眠くなり主に病気を治す体(ゆったり体質)になっています。
この二つの神経のバランスがくずれると、どうなるでしょか?
交感神経が盛んな場合は興奮状態ですので、「夜は眠れない」「血圧も高くなる」「ドキドキする」「便通が悪くなる」「口が渇く」「汗が出る」「食欲がなくなる」簡単に言えば戦いの状態です。
悩みや怯え、ストレスが過度にかかると、頭がいっぱいになり交感神経が盛んになりすぎます。からだを動かす度合いに対して、頭で考える度合いが多すぎて夜になっても興奮がおさまらず、頭に血が上ってる状態です。そうすると、症状としては「のぼせ」「寝付けない」「夢をよく見る」「便秘」「体の中に熱がこもる感じ」このように考えますと、これ等の症状も理解できると思います。
反対に副交感神経が盛んな状態はこれの逆です。
「便通がよくなる」「下痢」「血管拡張」「血流が良くなる」「眠くなる」「からだが重い」「アレルギー」「リラックス」「緩んでる状態」です。
このように最近は、ストレスが多く交感神経が盛んな「緊張人間」が多く、副交感神経が盛んな「ゆったり人間」がうらやましく見えますが、副交感神経が盛んになりすぎてもよくありません。どちらも良いバランスが理想で、朝は早く起きて、ご飯を食べ、スッキリと快便を出し、仕事もがんばって、よく歩いて(1万歩)頭を使う量よりもからだを使う量を多くすることを心がけ(全身の血流を良くする)、帰って家でゆっくりとし、お風呂でリラックスして、早く寝る。
あくまでも理想ですが、今までの生活にほんの少しの変化を与えられると、その後がだんだん右肩上がりに良くなってくるはずです。
ここまでお読みになって心当たりはありませんか?
「がんばり過ぎ」「がんばらなさ過ぎ」ではないですか?
「リズム」と「メリハリ」がとても大事です。
リズムの波の大きさが大き過ぎても、振り子と一緒で両極端になってしまいます。

そこで漢方薬は効くのか?

ストレスは漢方薬で防ぐ事はできませんが、西洋医学と違って東洋医学は「気」「血」「水」の3つのバランスで考え、「気」の気持ちも病気の状態として一緒に考えていきます。
生活や、性格、体質、環境など全体を見ていくことが大事です。漢方薬は「気」を増やしたり、減らしたりする働きもあり、自律神経失調症にはよく使います。
それと婦人の場合は「血」も関係いたします。漢方医学の本には「血」が汚れていたり、少なかったり、多かったり、熱を持っていたり、冷えていたりすると「気」がおかしくなるよと書かれています。
それで生理不順などに使う処方も、自律神経失調症や、不眠症などにもよく効く訳です。
発作時や心配な時に飲む処方もありますし、時間はかかりますが結構楽になりますよ。
治し方は西洋医学だけではありませんので、あきらめないで!