医王堂通信
としろぐ

母乳・授乳は大事。

2004.12.30

母乳は健康な子や、病気の低出生体重児であっても、人の新生児にとって最高の食べ物である事が世界的に認められています。母乳と母乳育児は、急性・慢性疾患のリスクを著しく減らす一方で、一般的な健康、発育、発達においても利益をもたらします。
アメリカ合衆国、カナダ、ヨーロッパや、他の先進国における研究では、母乳は下痢の頻度・重症度、下気道感染症、中耳炎、菌血症、細菌性髄膜炎、バツリヌス症、尿路感染症、壊死性腸炎、などの発生率を低下させることが明らかです。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)、インスリン依存性糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、リンパ腫、アレルギー性疾患、他の慢性消化器疾患等から子供たちを守っている可能性があります。
母乳育児は、認知能力の発達にもプラスの影響を与え、この影響は低出生体重児においてより明白です。
母乳育児は母親にとっても、閉経後の大腿骨頭骨折の頻度を低下させ、卵巣癌と閉経前の乳癌のリスクも低下させます。「薬壺12月号より抜粋」
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あらためて自然の力といいますか、自然の摂理というのはよく出来ていて関心いたします。自然に逆らったり、不自然な事をするとひずみが出るのも不思議ではありませんね。 
漢方医学の考えで、いつもお客様には「牛乳は動物の血液で、血を汚すのであまり必要ではありませんよ。東洋人は昔から飲んできませんでしたし、離乳期がある人種ですので飲んでも健康にはなりませんよ。」と、お伝えしてまいりました。
近くに乳もみ屋さんがあります。乳もみ屋さんというお仕事は、お乳の出が悪かったり、乳腺炎など、お乳のことで困った時に揉んだり、いろいろな事をして楽にしてあげる昔からあるお仕事のことですが、その先生とお話をしておりましたところ、こんな事をお聞きいたしました。
いつも予約で一杯なので、予約が取れる日まで1週間くらいかかることもあるようです。そのときにせめて乳製品と肉製品をなるべく減らすようにご指導されているそうです。そうすると、乳製品と肉製品を控えるだけで、1週間たって先生に会うときにはずいぶん楽になっているようです。私たちも乳製品は控えさせていますよ。と、おっしゃっておりました。
「お乳をあげるお母さんがお乳のんでどうするの?」
あらためて言い伝えや漢方医学は自然学だなと、つくづく思いました。
漢方薬では乳腺炎に葛根湯やその他の処方をよく使いますし、断乳に使う処方やお乳の出が悪いときにも飲む薬草がたくさんあります。
授乳中にも飲むことが心配な処方が何種類かあります。それは下す薬が入っている処方です。あまりにも便秘がひどい方は便秘薬の量が多いため、赤ちゃんも便がゆるくなります。いけないわけではないのですが、下痢はよくありません。ただ便秘のひどいお母さんは、お腹が弱いため、赤ちゃんも便秘の事が多く、そういう場合は丁度いい場合もありますが、赤ちゃんはできれば自然に出るようにしたいので、処方を変えるかどうか、こういう場合は検討します。
アトピー性皮膚炎のお母さんから生まれたお子さんで、赤ちゃんの頃からアトピー性皮膚炎の子もいらっしゃいますが、お母さんにアトピーの煎じ薬などを飲んでいただくと、お母さんも良くなるばかりか、授乳中の赤ちゃんまで良くなることもあります。
母乳ってすごいですね。