医王堂通信
としろぐ

うんちの動き

2005.3.30

ちょっと医学書的に理屈を書きました。。
1.胃に食べ物が溜まると胃直腸反射で直腸にうんちが一杯になって便意がおこり、排便が促されます。そのとき胃回腸反射もおこり回腸と結腸の間の回腸弁が開いて、小腸にある流動状の消化物が上行結腸に流れ込みます。
2.上行結腸では、流動状の消化物は結腸粘膜から水分を吸収されて横行結腸へ送られます。「消化物」とは、小腸で消化吸収された栄養物の残りカス、小腸で消化されない食物繊維、小腸絨毛上皮細胞の脱落したもの、コレステロールやその他の余分なもの、水分などです。
3.横行結腸で消化物は徐々にゲル化し、うんちになります。
そこで問題1。
消化物やうんちはどのように移動していくでしょう?
消化物やうんちが腸壁をヨッコラショ!と押し、腸壁が負けるものか!と押し返すという蠕動運動によって、一段一段と移動します。
問題2。
うんちを順調に移動させるために、腸壁の運動を活発にするにはどうすればよいか?
腸壁の運動は、消化物やうんちの量が多いほど活発になります。小腸で消化されなかったセルローズ(水に溶けない食物繊維)などがビフィズス菌などの善玉菌によって代謝されて乳酸を作ります。乳酸によって腸壁の運動は活発になります。
問題3。
なぜ”肉好き、野菜嫌い”はダメなのでしょう?
大腸とうんちのことから考えてみましょう。お肉を多くとり、野菜が少ないと、小腸から送り込まれた消化物が、上行結腸で水分を吸収されてだんだんゲル化しうんちになっていくときに、その量が少なくなって、そのため腸壁の蠕動を助けなくなり、消化物はなかなか移動しません。上行結腸や横行結腸におけるこの状態を「滞便」といいます。
「滞便」による症状には、腸管内圧上昇のためにおきる憩室症(結腸の外側に風船玉の膨らみのようなものができて、そこに便が溜まって起きる病気)や虫垂炎などがあります。また腹圧上昇によるヘルニア・静脈瘤などがあります。
横行結腸でゲル化した消化物はうんちとなって下行結腸→S状結腸→直腸→肛門へと進んでいき排泄されます。
しかし、
○うんちの量が少ない
○腸内の血行不順による冷え性
○神経の障害や疲労による腸管運動の機能低下
○妊娠などで腸管が圧迫されて狭くなる
などの原因によって腸壁の運動が低下すると、便は移動しなくなって「便秘」になります。
ちなみに少し古いデータですが、
イギリス海軍の兵隊さんの統計
食物の腸内通過時間・・・・・・平均69時間
「うんち」の量・・・・・・・・・・・・平均107g
ウガンダ村落の人々の場合
食物の腸内通過時間・・・・・・平均35時間
「うんち」の量・・・・・・・・・・・・平均470g
やはり食物繊維は大事。精製された、柔らかいものばかり食べていてはダメ!