医王堂通信
としろぐ

梅雨時期に、調子が悪いのは、気圧のせいにしましょう。

2014.5.23

梅雨になると耳鳴をはじめ、耳がふさがった感じが続いて耳の聞こえが悪くなった、中耳炎、突発性難聴など耳のトラブルが多くなります。しかも低血圧の方や水分代謝の悪い方は、どんよりとした倦怠感や頭痛、めまいに悩まされます。
実はこれらの症状は、台風の接近でも起こります。体調不良や持病の悪化は、急激な気圧の変化で引き起こされます。気圧が低くなると圧力が減るわけですから、血管は広がるでしょう。そうすると、血液量は変わらないわけですから、流速は遅くなります。その結果低血圧になり、血流が悪くなるのが想像できます。
たとえば、水の量は一定にして、水道のホースを太くするとゆったりと出るはずです。水流は遅いでしょう。(低血圧)
しかし、ホースの先をつまんで圧をかけると遠くへ水を飛ばせます。水流も速いでしょう。(高血圧)
そこで元気な人、からだを動かすエネルギーに余裕がある人は、気圧の変化に対応し調節することができますが、弱い人、疲れている人、病気の人は、気圧が下がりだした時からつらくなり、下がりきって落ちつくまで対応に困るはずです。
ぜんそくの方は、昔から台風が発生するとすぐにわかるといわれるのも、気圧の影響があるからです。血流の悪さは、体液の調整にも影響を及ぼしますので、水分代謝も不安定になります。
そこで水分の代謝にかかわる病気にはつらい時期という事になります。
めまい、耳鳴り、湿気の病気である関節痛などなど。
このように、「こんなに気をつけているのに、なぜか悪くなった」という時は、自分を責める前に「気圧のせい」を疑ってみて下さい。梅雨や台風の季節は特に、気圧の動きに合わせた養生も必要です。
そこで生薬は蟾酥(せんそ)の出番です。
蟾酥というと、心臓の働きを高める生薬として有名ですが、それは低気圧で滞りぎみになる気血の流れを整えることにつながります。蟾酥は熱中症のイメージから夏の生薬に思われがちですが、季節を問わず気圧の谷の通過による体調不良に是非ご活用いただきたいものです。低気圧には蟾酥が入った製剤は特にお勧めで、気圧の変化から身体を守ってくれます。
他にも対応できる漢方処方は多くありますので、あきらめずに、いつでもご相談ください。