医王堂通信
としろぐ

美味しい介護食

2018.10.22

父のおかげで、介護の現場に携わっているといろいろと切ない事があります。
年をとって噛めなくなり、飲み込めなくなる。そうした時の食事は流動食になっていきます。赤ちゃん成長時の逆です。赤ちゃんは流動食から固形へ。年をとると固形から流動食へ。
食事は重要です。食欲は人間の「欲」の1つなのでそこを満たすと心も満たされます。そこで以前も書きましたが、歯が重要です。大事にしましょう。年をとって抜けてからではおそく、親から頂いた大事な歯をメンテナンスしておきましょう。食べ物を噛むと人は覚醒します。
今年2018年の暑い夏、父は誤嚥性肺炎で1か月入院し「看取りです、もうあきらめなさい。」といわれましたが、手を尽くして復活。
入院してから4~5日後、飲み込みが難しくなり、食事、飲み物全て危なくてあげられないといわれ、どんどんやせ細っていくという非常に厳しい状態でした。しかし脈はしっかりしているし、唇を濡らすと明らかに欲しがっている。素直に食べたがって、飲みたがっているからあげようと、漢方薬を駆使したり退院するまでに少しでも力を保てるように頑張りました。胃ろうや中心静脈栄養などをしない場合、退院したら点滴を抜くので、水分や食事が取れない場合あとは看取りですという事で帰ってきましたが、言語聴覚士さんに協力を頂き、その後は少しずつ飲めて食べて元気に復活してきています。しばらくすると歩けそう。個人的には奇跡的です。芯が強いのか、まだ私がへなちょこなので修行させなければと頑張っているのか。
販売されている介護食はいろいろとありますが、言語聴覚士さんや栄養士さんのコメントからいろいろと試しました。中にはこれはまずい!というものや、意外に美味しいなど味だけでなく様々な食感、柔らかさ、飲み込みやすさなど様々で、好みもあるので食べてみない事にはわかりませんでした。
介護食は体調に合わせなければならず、硬さや大きさも私には簡単にはできません。
どこで売っているのかわからなかった。赤ちゃんの食べ物はドラックストアなどで取り扱いがありますが、介護食はなかなか種類が無く、インターネットで購入しています。しかし電話相談だと父の状態も伝えにくいし、こっちもよくわからない。結局無難な返事しか頂けないので注文するしかない。どこかに相談できるお店があるといいなと感じました。体調のレベルに合わせていろいろな食事の柔らかさ、飲み込みやすさのレベルがありますが、誤嚥してしまうレベルの食事はペースト状のものが多く、全てパテのような見かけで、工夫はされていますが、健康な人から見ると申し訳ないが味気ない。そこで施設から紹介して頂いたのが「摂食回復支援食・あいーと」です。適度な歯ごたえもあり、しかし酵素で分解し柔らかく消化しやすくなっています。しかも美味しい。父に食べさせる前に試食しましたが、ご飯が進みます。(笑)
付き添いの看護婦さんに、「としおさんお腹も手術しているし痩せているから、あなたも食べたら?太れるかも。」なんて優しく言われてしまいました。
食べる事は命を養う事。
言語聴覚士さん Speech-Language-Hearing Therapist (ST)
もっと活躍して欲しいです。
父のおかげで勉強になります。修行中です。
「空腹は最高の調味料である。」「Hunger is the best sauce.」
お客様には「お腹がすくような生き方」が正解ですとお伝えしています。
お腹がすいている時間を大事にする。
お腹がすくように楽しく運動する。
お腹がすくように食べ過ぎない。
お腹がすくようにリラックスタイムを意識して作る。
1人ではお腹がすくようにできない場合は、お腹がすくような優しい漢方薬を使うとよいでしょう。元気になります。命のエネルギーがどん底の時に使う漢方は胃の働きをよくする胃薬のようなものだったりします。
大変な介護中の皆さんの為に、この経験が少しでもお役にたてればと思います。