医王堂通信
としろぐ

悪化スピードの速いアトピー、その2

2007.2.17

さて漢方薬を考えるにあたって、心配な事があります。それは皮膚は排泄器官なので、一時的に飲み初めにかゆみが強くなったり、浸出液が出たりする可能性があるということと、症状が激しい場合は強めの薬味を使わなければならないため、漢方薬で言う病位を間違えると、強い薬味のために悪くなる場合があることです。
しかし、これらはほとんどでない症状ですが、まれにいらっしゃるためによく説明しておかなければなりません。病気の場所(病位)を間違えなければ大丈夫なのですが、このアトピーという病気は非常にわかりにくいために、いつも大変気を使って苦労するところです。
まずはじめは、汗、寝汗、気力がない、舌白苔、咽乾、、動悸、手足煩熱、小便がスッキリ出ない等の症状から、煎じの○○湯と、寝る前に○○丸を1週間服用していただきました。
1週間後、どのくらい速く悪化しているのか心配でしたが、初めてお会いした状態がどんなに良かったかわかりました。皮膚はがさがさで、痒くて眠れない。ガリガリにかきむしった状態で、今までの経験の中でもひどいくらい悪化していました。はじめにどんどん悪化する予定とお聞きしていましたが、ここまで速く悪化するとは。
そこで前の処方では穏やか過ぎて時間がかかるし、症状が激しく出ているので、煎じ薬を強めの処方に変更。それで2週間様子をみていただきました。
2週間後、具合はよくはないが悪くはなさそうとのこと。色々お話をしたところ、20年来の心労(ストレス)があることがわかりました。やはり「気」でした。ひどいアトピーの患者さんは特に強い心労(ストレス)があることが多いという印象です。前回処方を強めにして正解。。
飲み始めてから、悪化のスピードもゆるくなったような気がするとの患者さんの言葉で、自分にさらに気合をいれました。かゆみは特に上半身、夜痒いし、火照るとのことで処方をまた変更。このあたりで手ごたえがあり、1ヶ月弱同じ処方にしました。初めてお会いしてから約40日の頃、ずいぶん落ち着きました。顔色もよく、かゆみも減ったようです。夜も眠れるそうです。
よかった。嬉しかったです。患者さんも嬉しそうです。
処方を飲みながらも色々な事をやっていただきました。まずは食養生です。他のページにも書きましたが、アトピーはお腹の弱さ。食養生は必須事項です。が、出来ないような難しいことではなく、ただの和食です。主食はお米、あとはお味噌汁、お漬物、野菜中心のおかずを、よくかんでお腹8分目。
それとオススメの温泉。人によっては合う合わないがあるでしょうが、自分も好きな万座温泉にたまたま行きたいということで、行かれたようです。このように患者さん本人がものすごく努力されました。患者さんを観ているとやはり「気」が大事なんだなと、つくづく思います。