「紫根」しこんパニック!
6月22日 テレビで「紫根」を化粧水にし、シミに良いと。
一昔前、みのもんたさんのテレビで毎日のように、その日の特集の薬草の問い合わせが放映中から鳴りっぱなしだったことが懐かしいです。
今回も朝から電話は鳴りっぱなしだし、お客さまも何人も紫根!紫根!といらっしゃいます。
シミ・シワなどのお悩みは女性にとっても、最近は男性にとっても永遠のテーマです。お気持ちはわかります。
紫雲膏「華岡青洲先生」のページにも書きましたが、シミ・シワにも良いでしょう。
しかし、テレビでやったように化粧水にするのは?ちょっと疑問があります。
昔から染料として使うわけですし、紫雲膏も紫根をごま油で煎じて作るので、シコニンなどの紫根の主要成分は脂溶性ではなかろうかと考えるわけです。脂溶性とは油に溶けだす成分ということ。しかも紫根はムラサキという植物の色素ですので、色がとても大事です。長く熱をかけると黒くなり、色素が台無しに。
私が作っている紫雲膏は、あまり長くごま油で煮ると色素が鮮やかではなくなってくるので、メーカーさんの紫雲膏よりもたぶん短く煮ているので、綺麗な紫色で香りもきつくありません。
テレビでは煎じてと言っていたようですが、煎じたものはそう長くもたないので、2~3日分作り、冷蔵庫で保存。しかも独特な香りがあります。実際に煎じてみましたが、すぐに黒っぽくなり、香りも良くなく、お勧めは致しません。効果は少しはあるでしょうけど。。でも代表的な婦人科の薬味である当帰を使っていない。どうして?
シミは東洋医学では、瘀血・古くなった汚れた血として考えるので、婦人科の漢方薬を使います。当帰・川芎・桃仁・牡丹皮なども美容効果があると思いますが、漢方薬は一つの成分ではあまり使いませんので、その人にあった処方を使うべきでしょう。生理痛や、肩こり、など婦人科の処方を使っていると、当然お肌も綺麗になっていきます。漢方処方は身も心も綺麗にしますので。無駄なく正しく使ってください。どちらにしてもすぐに良くなるはずはありません。
心配なことは、紫根は薬草であるということです。今回に限らず、薬草類がマスコミに取り上げられると、その反響で薬草が市場から消えてしまいます。そうするとお薬として使っている人へ薬草が回らなくなってしまいます。薬草は自然の産物なので、短くても数ヶ月から数年たたないと収穫できないため、大事に使いたいですね。