どくだみ「十薬」

“どくだみ”は、十薬(ジュウヤク)とも呼ばれ、古くから民間薬としてまた解毒のお茶として庶民の方々に飲用されて来ました。
「大和本草」(1708年)に「我が国の馬医、これを馬に用いると十種の薬の効能があるので、十薬と言う」と書かれています。日本固有の“げんのしょうこ”・“せんぶり”同様、経験として様々な効果があることが分かっています。
日本薬局方のどくだみの効果効能は「便秘、尿量減少、便秘に伴う吹き出物」です。
漢方の大家・大塚敬節先生著の、漢方と民間薬百科に“どくだみ”についての記述があります。
ドクダミ (ドクダミ科)
薬用部位:全草(乾燥して蓄えるには、花の咲いている時に採集した方が良い)
薬効:痔・高血圧症・便秘・たむし(頑癬)・陰部のただれ・はれもの・かぜ(感冒)・腰痛・蓄膿症(副鼻腔炎)・冷え性・帯下
痔:痔核(いぼ痔)には、生の根をおろし、一日三回、一回に3~4gずつ飲む。また、全草を陰干しにしたもの20gを一日分として煎じて飲む。また、生の葉を蒸し焼きにし、ゴマ油でねって、寝るときに患部にはる。葉を入れてふろをたて、腰湯をしてもよい。また、生の葉のしぼり汁をぬってもよい。
高血圧症:陰干しにしたもの10~20gを煎じ、毎日お茶がわりに飲む。狭心症、動脈硬化を予防し、脳出血の予防にもなる。
便秘:便が固くて快通しないときには、乾燥したもの10~20gを煎じて飲む。
たむし・陰部のただれ:煎じた汁で洗う。
はれもの:俗に言うねぶと(癤)や、その他のはれものに、生の葉を和紙に包んで炭火であぶり、紙がこげるころとり出し、よくもんでやわらかくして患部にはる。膿を吸い出す効がある。また、もんでやわらかくしたものにハコベのしぼり汁を加えてねり、患部にはってもよい。生の葉をもんでつけても、根をすりつぶしてつけてもきく。
かぜ:乾燥した葉を煎じ、汁をとってあたたかいうちにうちに飲む。また、生の葉のしぼり汁にショウガのしぼり汁を加え、砂糖を加えて飲んでもよい。
腰痛:生の葉でも乾燥した葉でもよいから、これでふろをたててはいるとよい。
蓄膿症:乾燥した葉をお茶代わりに飲むとともに、生の葉を塩でもんで鼻腔にさしこんでおくと、膿のような鼻汁がたくさん出る。これをたびたびくり返すとよい。
冷え性・帯下:全草でふろをたててはいると、よくあたたまり効がある。
というように、様々な症状に効き目があります。
花は初夏から夏にかけて、茎の上方から伸びた花軸の先に細かい淡黄色の多数の花をつけ、花穂の下に白い花弁のような苞をつけます。
5~6月の花が咲いている時期に根を含めた全草を採取して日干しにします。
生の葉は随時必要な時に採取します。
他にも利尿作用や、抗菌・抗カビ性があるので、水虫などのカビに対して発育阻止作用もあります。
ドクダミは特有の臭みがありますが、加熱により消失するので、若い芽を天ぷらにするとおいしく食べられます。
今年は、どくだみ茶作製に挑戦してみませんか?
珍しい八重咲きのどくだみです。
