佐渡島は自然がいっぱい その2
佐渡島は人が少なく自然がいっぱいです。川には海から魚が上り、佐渡オケラ、トリカブトなど薬用植物も歴史上有名です。今回も奇麗な花がついているトリカブトを観察してきました。
トリカブト(附子)
トリカブトは毒草ですが、9月から10月にかけてこの根にできる子根を灰で蒸して皮をむいて縦に8辺に切り乾燥します。それが「炮附子」という生薬になります。代用できないとても重要な生薬で、温めたり、血流を良くする力が強いため、冷えがひどいときや、痛み、しびれ、に使われる処方に配合されます。そのため、エネルギーが豊富で温かくて元気な子供には特別な状況でないかぎり使いません。高齢者や生命エネルギーが少ない時など危篤な状態に、起死回生の生薬として数千年前より使われています。現代では桂枝加朮附湯、真武湯、麻黄細心附子湯、八味丸が繁用処方です。
小佐渡の羽茂には佐渡植物園があります。クアテルメ佐渡(温泉)の目の前です。
そこにあるのが貴重な佐渡オケラ(ホソバオケラ)生薬名は「蒼朮」です。
サドオケラ(蒼朮)
蒼朮は主に利水作用。からだの水の調整をします。そのため、水分が多い胃には胃薬として、水分が多い関節には関節痛の薬として、他にはむくみやめまいに使われます。茯苓沢瀉湯、人参湯、苓桂朮甘湯、五苓散、越婢加朮湯、桂枝加朮附湯、当帰芍薬散、真武湯、防己黄耆湯が繫用処方で、他にも多くの漢方処方に配合されます。
ソウシシヨウ(想思子様)ニンジン黒い斑点がある稀なタイプのトチバニンジン
トチバニンジン(竹節人参)
竹節人参は日本特有の生薬で、傷寒論(中国の古典医書)には載っていません。歴史は日本で300年程度と言われています。朝鮮人参は高級品だし日本には自生していなかったため、代用品として使われてきました。朝鮮人参と薬効は似ていますが、苦みが強いので「瀉する力が強い」と言われます。症状によって使い分けます。柴胡桂枝湯、小柴胡湯、柴胡加竜骨牡蠣湯、大柴胡湯が繫用処方です。
まるで夏の花火のような実のつき方ですね。かわいい。方術信和会の先日の夏の学術大会で白瀧義明先生に、根の形はまるで違うが、地上部はそっくりで丸い実は竹節人参、偏平の実はお種人参と教わりました。
佐渡島の上部は大佐渡と言われ、その山脈の中央には原生林があり、その中に「大佐渡石名天然杉」があります。車1台通れるくらいの道を10㎞上ると駐車場がありきれいに整備された遊歩道になっています。歩道は杉のチップがひかれているので、フワフワとして歩くと気持ちよく、1時間程度の軽いハイキングです。厳しい風雪により変わった形の杉があります。
四天王杉
大黒杉
「象牙杉」「羽衣杉」「四天王杉」「大黒杉」なかなか巨木で感動しました。台風が来ていて、あいにくの天気でしたが山の香りが濃くて癒されました。
漢方を勉強するという事は自然の摂理を勉強するという事です。それを理解するには長い年月がかかり、机上の勉強だけでなく、実際に自然の触れる必要があります。自分を癒す為だけでなく、お困りの方のお手伝いになればと思い、お休みを頂いて山や海など自然に触れるようにしています。
としお