韓国医学と日本漢方
韓国(旧朝鮮)では東洋医学は大切にされているため、東洋医学専門医の国家試験の制度があります。街には薬令市場(ヤンニョンシジャン)と言って漢方薬街があり、漢方薬などの薬草文化は生活の一部として身近な存在です。日本の漢方医学は中国伝来と思いがちですが、「薬好き将軍の徳川吉宗」の時代には対馬を経て韓国からの医学も活発に輸入され、日本では当時、何にでも効いてしまう高麗人参ブームが起こったそうです。
17世紀ころ、韓国医学は成熟し、「東医宝鑑」がまとめられました。現在も韓国医学で使用される医学書で、朝鮮医学の最高峰といわれるものです。その監修者が「許浚・ホジュン」です。ホジュンは貧しい身分に生まれましたが、努力をして王様の担当医になった人で、韓国ドラマ「ホ・ジュン 伝説の心医」でも有名です。このお話は貧しいホジュンが、人のために尽くすという事を知り、師匠のもとで薬草を採ったり、漢方を学び、貧しく困っている病人から、王様のご病気まで、また病気だけでなく心までも癒すというとても感動する内容です。興味のある方はぜひご覧ください。私の師匠も同じことを私に伝えて下さったので、このドラマを見ると涙が止まりません。
ソウルにはホジュン先生の博物館があります。許浚博物館

『東医宝鑑』の一番初めに出てくる漢方薬が、いつもおすすめしている「瓊玉膏」です。出典は「洪氏集験方・巻第一」中国1170年
神仙(不老長寿) 秘法 瓊玉膏…此の膏、填精補髓(精をみたし髄を補い)、腸化(通暢 充実。 ゆきわたる。)すれば筋となり、萬神具足 (精神・見識が充実)し、五臓盈溢(五臓機能が充実)し、髄(骨髄・脳髄) 実し血満ち、髪の白きを黒きに変え、老(老化) を返し童に還し(若返る)、 行くこと奔馬(馬力の有る馬)の如く(行動に力がみなぎる)、日に数食を進めば (数回服用すれば)、或は終日(1日)食さずともまた飢えず、関通じ(気の滞りを開通させ)記(暗記力)を強くし、日に萬言を誦え(1万語を覚える)、神識高邁(精神と見識が優れる)にして、夜に夢想(悪夢・妄想)なし。人 年二十七歳以前より、此れを一料(一定量)服せば、寿三百六十歳なる可し、四十五歳以前より服する者は、寿二百四十歳なる可し、六十三歳以前より服する者は、寿百二十歳なるべし、六十四歳以上に之を服すも、寿百歳に至る可し。これを十剤(十分)服し、嗜慾を断ち、陰功(養生法)を修むれば地仙(地上界に居る仙人)と成る。・・・」
と書かれています。360歳まで長生きになるはずはありませんが、瓊玉膏を継続している方は元気でお肌も髪も爪もつやつやになるからと喜ばれています。

当店で取り扱っている瓊玉膏です。

2018年に大邱に訪れた時の写真です。ちょうどその時に漢方フェスティバルが行われていました。ここには薬令市韓医薬博物館もあり、漢方好きには楽しめます。日本より韓国の方が漢方文化を身近に感じます。









今年のGWは再び大邱の薬令市韓医薬博物館に行ってじっくり調査してきます。いずれ漢方を学んでいる人たちを連れて「漢方を学ぶ韓国ツアー」を企画すると思いますので。

