医王堂通信
としろぐ

韓国漢方(韓方)の研究 大邱薬令市韓医薬博物館

2025.6.10

漢方の勉強のために「伝説の心医・ホジュン」を見ながら、参鶏湯を作るために韓国料理屋さんへ通い、商品のパッケージのデザインを考えていたら、韓国へ行きたくなって連休に大邱(てぐ)へ行ってきました。大邱は7年ぶり2回目。前回は漢方フェスティバルの真っ最中でした。今回は時間があったので1日かけて大邱にある韓方街へ行ってきました。

1658年から大邱邑城内で春と秋に行われた薬草市は、中国や日本、ヨーロッパなど世界中に韓方薬を供給してきた拠点だったようです。現在の日本での流通量は韓国生薬は少なくほとんどが中国産ですが、五味子や茯苓、朝鮮人参は有名です。漢方=中国というイメージがほとんどですが、漢方は中国生まれ日本育ちの東洋医学ですし、中医学は現代の中国医学です。しかし記録に残っていないものも多くあるはずで、日本との距離が近い、釜山から対馬藩経由で、様々な文化の交流があったようなので、もしかしたら韓国経由の流れの方が歴史が古いのかもしれません。

大邱薬令市韓医薬博物館

大邱の中心地にある、この博物館はとても立派で勉強になりました。

入り口の外にある足湯コーナー 誰も使っていませんでした。以前イベント時は多くの人が使っていました。

壁画がまさしく「許浚」ホ・ジュン

3階からスタート アイフォンにアプリをダウンロードして(WIFIが弱いのですっごーっく時間がかかってしまいました)日本語の解説をダウンロードしてエアポッズで2人で聞けました。このアプリは日本でも使えるので、たまに聞いています。便利便利

このアプリです。勝手にダウンロードしていいのか、わかりません。ダウンロードは無料。拝観料も無料でした。

日本語字幕も数か所あり親切でした

脈診が大事です。すごい診断能力。医療者は自分の全身のセンサーを使って患者さんのからだの状態を把握します。現代では、検査しないとわかりませんってどういう事でしょうか。

「自分のお薬は自分で炊いて作る」これが治療の始まり。私の師匠の言葉です。師匠の師匠から数千年伝わる技術です。

薬草を修治します。修治とは、よく効くように、または悪い成分をなくすために、副作用が出ないように加工することです。今でも切るだけでなく、焼く、雨にさらす、海水につける、お酒で煮る、灰で焙じる、黒焼きにする、など様々な加工を行います。その素材の最高の能力を引き出す作業です。お料理と同じですね。「面倒くさい」ことを人に任せると高くなりますし、ちゃんとやってもらえないこともありますね。自分を癒すものはなるべく自分で作りましょう。

石(鉱物)も薬になります。人のよっては「石ころ」が、病人には「大切なお薬」という物になります。石は冷たいから冷やす性質のものが多いと言われています。

律鼓心に配合の真珠や、感応丸氣に配合の麝香(ムスク)、その他、熊胆(くまのい)、海馬(タツノオトシゴ)

これもお馴染みの動物高貴薬、鹿の角です。元気のもとですね。左上と右下が鹿茸(成長が著しい柔らかい子供角)、左下が鹿角(カチカチ大人角)です。存在意義が違います。もちろん効果も違います。

能活精に配合のレイヨウカク 頭が涼しくなりそうですね

生薬の鑑別ができる事って重要なのです。ちゃんと観察できているか、できていないかばれてしまいます。同じ種でも日本の土と中国の土とでは成長すると香りや色など違う事があります。「違いがわかる人」になりたい。

右下の景岳全書はうちにもありますが、まだ読んでいません。修行が足りませぬ。。

韓方の祖 許浚(ホ・ジュン)先生の東医宝鑑です。この本の一番最初の処方があの瓊玉膏です。甘くて美味しくて、からだが潤い、心もからだも支えてくれる瓊玉膏。

昔はこういう鍋で煎じてたのですね。

右上が薬研、中央下段が製丸機です。薬草を粉にしてはちみつなどで練ってこの製丸機で丸薬を作ります。

象形薬理論・象形薬徴論ともいわれます。

「皮」には皮の意味があります。植物により個性がありますので違いはありますが、その植物にとって「皮」とは外界との接点です。外敵から身を守る、呼吸しているなど生き物としての共通点があります。そのため、皮の薬草は皮膚の成分が豊富に含まれると考えます。漢方では薬草だけでなく、蝉の抜け殻も皮膚病薬として使われます。

「花」は動物で考えると生殖器でしょう。色や形や香りで誘いますね。

「葉」は青々として夏の日差しを浴びてエネルギーを作ります。発散する作用が多くなりますので、「氣」剤といわれる作用です。夏野菜は暑さからからだを冷やし水分の補給になります。生薬で葉は意外と少ないです。

「実」は果実です。動物で考えると受精した後の子宮のようなものでしょうか。実の中の種は受精卵とも考えられます。「種」はホルモン作用があり婦人科系によくつかうので、大豆のイソフラボンの効果は理解できるでしょう。

「根」は秋から冬にかけて葉や茎など地上部は元気がなくなり根に栄養が集まり充実し冬に備えます。根の生薬を充実するためには春に芽をつんで花を咲かせないように工夫します。根は動物で考えると足腰、命の根本でしょうか。

陰陽五行についてにの説明です。古代中国では森羅万象を5つの要素に分類しました。人のからだも、植物も、水も、空気も、天も地も、時間も。

韓国では人の体質のタイプを4つに分けていたそうです。太陽人、太陰人、少陽人、少陰人、これもそれぞれ陰陽に分けていますね。傷寒論では病気を太陽病、陽明病、少陽病、太陰病、少陰病、厥陰病と6つに病気の時期や部位を分けています。

伝説の心医 ホジュン先生に脈診して頂きました。「修行が足らん!」と言われたとか言われないとか。

「若さを保ってくれる薬、瓊玉膏」と書かれていますね。さすが韓国本場です。

お土産コーナーには足湯がありました。20分 5000ウォン(500円)気持ちがよくウトウトしてしまいました。他には韓方石鹼作りやリップバーム作りが体験できるそうです。この日は平日のせいか人が少なくてゆっくり見られました。

韓国漢方(韓方)の研究 大邱薬令市周辺の街並み

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