お米について漢方的に考えてみました

こんにちは。最近のお米騒動でお米という存在が重要であるとひしひしと感じます。お米を配合する漢方薬もありますので、お米について改めて考えてみましょう。
お米の種類
お米には大きく分けてうるち米、もち米に分けられます。そして加工法により、玄米→三分精米→五分精米→七分精米→白米と精白度が高くなるにしたがって、糠層に含まれる栄養成分や食物繊維が失われる事になります。玄米の方がビタミン・ミネラル・食物繊維が多く、そのため消化に時間がかかるので、よく噛む必要があります。食べる量は少なくてよいです。逆に白米はよく噛もうとしても溶けてしまうため噛まない。白米の方が甘くて美味しいと感じます。消化が良いので過食してしまいがちです。
漢方的に米(うるち米)とは(新古方薬嚢・荒木性次著より)
- 氣を益し煩を止どめ渇を止どめ洩を止どむ。(名医別録)
- 中を温め胃氣を和し肌肉を長ず(蜀本の説)
- 中を補ひ筋骨を壮にし腸胃を益す(日華の説)
- 汁を煮て心痛を主どり渇を止どめ熱毒の下痢を断ず(孟詵の説)
- 蓮の実と合せて粥食すれば精を益し志を強くし耳を聴くし目を明かにす(好古の説)
- 血脈を通じ五臓を和し顔色を好くす(時珍の説)
- 燥きを潤し急を緩め力を強むるの効あり(荒木卜庵先生)
漢方を学ぶためにはこのような読みづらい古典を読み解かなければなりません。お会いしたことはありませんが、荒木卜庵先生が私の大師匠です。私の父も荒木先生のもとで長年学んでいました。
近年の私の師匠の一人である田畑隆一郎先生は、米は天地中和平温の性味を具えた宇宙第一の最上至極の良物である。これを得るときは則ち生き、これを失うときは則ち死し、一日も欠くべからざるものである。しかし飽食するときは必ず病を生じる。これは米だけに限ったことではない。とおっしゃっています。
簡単に説明すると、胃腸の働きを良くし、渇きを潤す、要するに脱水傾向の熱中症や栄養不足による乾きを潤す効果があると言うことです。病気の時にお粥を食べるのも自然な事です。渇きを潤す漢方処方、白虎加人参湯、麦門冬湯、竹葉石膏湯にお米が配合され、五苓散は重湯で服用する理由がわかります。この4種の漢方薬は熱中症、脱水症、肺(咳)や皮膚(アトピー性皮膚炎)の乾燥に使われます。

うるち米ともち米
「うるち米」よりも「もち米」の方が胃腸を温めたり血液循環を良くします。そのため、お酒を飲んでもち米を食べると酔いがさめにくくなります。また、昔からリュウマチなど炎症性関節痛の人はもち米は常食しない方がよいと言われます。夏は気温も湿度も高くなります。そのため冷たい飲み物や食べ物が多くなり胃腸が冷えて弱りますので、暴飲暴食は夏バテや熱中症の原因になります。
韓国では一般的には夏バテ予防のために参鶏湯にもち米を入れて食する理由がわかります。当店の参鶏湯のもち米はあえて白米にしています。参鶏湯(サムゲタン)は、滋養強壮や疲労回復、夏バテ防止、体調の改善などの目的で食べられています。もち米やお米をさらに加えて食べても美味しく召し上がっていただけます。漢方薬屋の参鶏湯 本格薬膳スープセット1080円 お陰様で大好評です。
バランスをとる
どのような物にも陰陽があり、一長一短です。偏らないようにバランスをとるように心がけましょう。私たちには一生のうちに二度しか生えない大切な歯がありますので、歯で噛み砕く食べ物が自然に沿ってるのでしょう。粉から作ったもの(消化が良すぎ早く吸収する)や加工食品は減らしましょう。「この食べ物は病気を治す」「この食べ物が毒」というような一方的な偏った情報があふれています。人が言ったことは、自分で考えずに鵜呑みにするのは控えましょう。

サキホコレ
私の趣味の1つは旅行です。日常を離れ様々な事を経験すると、今まで頭の中で点と点であったことが線で結ばれ「なるほど、こういうことだったんだ」というように、自分が成長するのがわかるからです。そこで、今回は私が幼稚園の頃から当店で勤めていただいている美容部員の菅野さんの実家である秋田に日帰りで行ってきました。2025年6月1日に白神山地世界遺産センターを訪れ、熊さんに会わないことを願いつつ、薬用植物を探しつつ軽くハイキングしてきました。水が綺麗で空気も美味しく木々の葉の色が濃くてまぶしく、とても癒されました。また米どころで有名な男鹿半島の八郎潟の田んぼも広々として感動しました。もともと八郎湖という琵琶湖に次ぐ大きな湖があったそうで、昭和に干拓され、風が強いために稲が病気になりにくいために農薬をさほど使わなくてもよいお米ができるそうです。
この旅行で出会ったのは秋田県が開発した新品種のお米「サキホコレ」です。2022年10月にデビューし、食味ランキングで特A評価を獲得するなど、高い評価を得ています。あきたこまちやコシヒカリを超える最高ランクの食味品種をコンセプトに、徹底的にこだわって開発されたとのことです。色が白く綺麗でツヤがあり風味もよくサラッとしていて、本当に美味しかったです。
「自然が私の師匠です。」
としお
