眼病について
2026年3月15日 朴庵塾セミナーの初級コースの講義をしました。この授業では「新古方薬嚢」にそって生薬について解説をし、その生薬が配合される漢方処方について、臨床例など含めお話ししています。
その中で今回は「桃仁」でした。桃仁は婦人科に使われる破血の代表的な薬草で、桃核承気湯、桂枝茯苓丸、大黄牡丹皮湯に含まれます。
話は変わりますが、「眼病・目の病気」に対して、漢方薬を使います。どういうことかというと、まずは眼がどういう部位かを考えます。
調べてみると、「眼は全身疾患の窓」といわれていて、全身疾患のサインが現れやすいという特徴がありるそうです。網膜の外側の脈絡膜は、単位面積あたりの血流が全身で一番多い臓器で、全身性に血流の障害がある場合、微小血管を有する眼に最初のサインが出現し、眼底を見れば直接血管や神経の状態を観察できるという貴重な部位。それに、失明と視覚障害を合わせた視覚障害者は約164万人と推定され、全体の約半数は41歳以上からの中途視覚障害者。その主な原因疾患は、緑内障、糖尿病網膜症、網膜色素変性症、加齢黄班変性、強度近視で、見えなくなるという恐怖と不安ははかりしれない。
なるほど納得ですね。現代医学の進化は素晴らしく、頼もしいです。
ここからは私が2015年に漢方の臨床へ投稿した眼病「黄斑円孔」の治験例を載せます。ご参考になれば幸いです。なお、処方名は伏せております。それは漢方薬は、皆様が想像しているよりもとても効くので専門家の正しい判断が必須だからです。むやみに使うと漢方薬が病状を壊してしまうことがあります。そうすると治すことがさらに難しくなってしまうことがあります。ご理解ください。処方名が知りたい場合は「漢方の臨床・2015年62巻11号」をご覧ください。
最近流行の目によいと言われるサプリメントのブルーベリーの一種であるビルベリーは色素が濃く、ルテインは緑黄色野菜に多いとされる色素である。飲んでいる人の中には気の持ちようか、ちょっと良い感じがするという人もいる。昔から一部の薬局では、葉緑素の色素の濃い製品、たとえば熊笹、赤松など青汁といわれる類は、血液を作り、浄化する働きがあり、血液をサラサラにするとして、また野菜不足の補助として健康維持のために勧められてきた。民間薬の中でも有名なハブ茶であるえびす草の種の決明子も、便秘以外にも肝臓病にも使われてきたが、「目を明らかにする」と眼病にも使われ、お茶として飲用するだけでなく、外用しても効果があるようである。瀉心湯類の黄連、黄檗にも含まれるベルベリンは一般用目薬にも配合され、梔子檗皮湯、洗眼方では外用剤としても使われる。 象形薬徴論から考えると、特に「黄色」が重要。
目の病気も様々だが、眼病という相談で私の頭の中に浮かぶ処方は。八味丸、杞菊地黄丸、葛根黄連黄苓湯、や黄連解毒湯、「肝は目に開孔す」より柴胡剤全般、「肝は血を受けてよく視る」より考え、瘀血を目標とする桂枝茯苓丸、大黄しゃ虫丸、桃核承気湯、「目は水の入った袋」と考え、駆水毒剤である苓桂朮甘湯、五苓散、苓桂味甘湯、越婢加朮湯。
東洋医学的には目の症状とはいえ全体の症状を観察しなければならない。この症例の場合、初期ではないが急性で、炎症性で、痛くて、赤くて、頭部で、女性で、肋骨下が痛くて、神経質で、などの症状より未熟なりに考えた処方でも、何となくでは困るがそれなりの処方を選んでいた。今回調べてみて気がついたことは、原因は様々であるが、水逆、血熱の上昇、気の上昇、などのぼせ傾向にあるように思われる。眼というところは、観察しやすく、わかりやすい部位であり、全身の状態を反映しているのであろう。
このように患者さんをよく観察することがとても重要です。これが、私なりにメールや電話などでのご相談を積極的にしていない理由です。緑内障や黄斑変性症、飛蚊症、閃輝暗点、目ヤニ、目のかゆみなどのご相談もありますが、加齢による目の乾燥のご相談は多くあります。
からだの血液や水分が滞ったり、疲れてエネルギーが減り流れが悪くなると、目は濁ったり曇ったりします。「目は口程に物を言う」患者さんが元気になってくると目が光ってきます。魚屋さんで新鮮な魚は目を見ればわかるといいますが、それと一緒です。
サプリメントの宣伝ばかりが目に付き、漢方薬が眼に効くとは思っている人はまだ少ない。残念なことです。
としお



