医王堂通信
としろぐ

膀胱炎

2006.1.20

「おしっこが出にくい」
「おしっこが近い」
「残尿感がある」
「排尿痛がある」
「血尿がでる」
「排尿時しみる」
女性特有ではありませんが、膀胱炎といえば、このような症状が一般的です。よくご相談もあります。
西洋医学ですと、水分をたくさん摂取して、抗菌剤がよく処方されます。それは悪い菌が悪さをしているからという理由からでしょう。水をたくさん飲んで、菌を殺しておしっこと一緒に流し出してしまおうと。しかし、無菌性の膀胱炎はどうしましょうか?
東洋医学ではどのように考えるのでしょう?
漢方薬には膀胱炎のような症状に使う処方がたくさんあります。しかも初期であれば2~3服で治る事もあります。漢方では菌がいるから菌を殺そうというより、どのような症状だから、そこを冷やそうとか、温めようとか、からだの症状から病気がどのような状態なのかを判断していきます。
例えば有名な猪苓湯などを例にあげますと、猪苓湯は温剤が入っていません。ということは、冷やす系統のお薬です。では猪苓湯を飲む人の症状は、「のどが渇く」「おしっこが出にくい」ことが重要です。
膀胱に熱(炎症)があれば、水は熱により少なくなりますので、おしっこも出にくくなり、水分不足なのでのどが渇きます。当然その熱で煮詰まったおしっこは黄色く色がつくでしょう。
では「のどは渇かない」「頻尿」「おしっこの色は透明」の病状の人は、熱症状(炎症)があるのでしょうか?こういう場合は「冷え」からきた症状として考え、「温める」処方を使うのです。こういう症状の人には猪苓湯は使いません。冷えている人を冷やしたらよくありません。これは漢方薬の副作用ではありません。使う人の問題です。急性の膀胱炎に正しい漢方薬を使いますと、即効性がありますよ。慢性化している膀胱炎ですと時間はかかります。
西洋医学では膀胱炎のときに水分をたくさん飲みなさいと指導されますが、東洋医学ではのどが渇けばそれなりに。もし冷えからの膀胱炎症状であれば、水分をガブガブ余計に飲んだら、カラダが冷えてしまってよいはずがありません。余分な水分はカラダから何とか出さなければなりません。腎臓にも心臓にも負担がかかるでしょう。だから無理して飲むことはありませんというお話になります。人間のカラダは水分が必要になってくれば、のどが渇くのでそのカラダの訴えにしたがって行動すれば良いのではないでしょうか?ただし、乳幼児や、高齢者は別の問題が出てきますので、注意が必要です。あくまでもここに書いていることは、一般的な東洋医学の考えですので。
このように西洋医学と東洋医学はずいぶん違いがあります。どちらが良いとか悪いとかではなく、なんでも正しく使うようにすれば、悪いことも、無駄も、減るのではないかな?と思います。治したい人(病人)が、好きなほうを選べばよいことでしょう。
とにかく漢方薬は正しく使うと即効性がありますよ。急性病の場合ですが。