医王堂通信
としろぐ

あなたのからだの船頭はどなた?

2019.4.8

最近、お客さまからのご相談で気になる事があります。「からだの全体のバランスを見てくれる人(船頭)がいない事」です。保険医療では、診療所の内科の医師がかかりつけ医として幅広くみていらっしゃいます。しかし最近はからだの部位や病気によって診療科が細かく分かれて、それぞれの病気の担当医師がいらっしゃいます。医師どうし連携がとれていれば全く問題ありませんが、他の病気の事は専門ではないから専門医に聞いてくださいという事を聞くことが多くなったように感じます。
以前よりも漢方薬が保険医療で使われる事が非常に増えています。東洋医学では身体や心を一体の物として考え、患者さんの話を聞いたり観察してからだの偏りを調えるために漢方薬を使います。そのため病状や流派によっても違いますが、一般的には日本漢方の専門家は患者さんの悩みが多くても1~2種類の漢方薬しか使いません。目や耳、皮膚、内臓、心の病気でも同じ事です。例えば風邪の初期(2~3日目まで)の場合、西洋医学では症状によりますが、抗生剤、解熱剤、咳止め、去痰、鼻水止め、胃薬、が一般的です。東洋医学では1種類の漢方薬、たとえば葛根湯だけで風邪を治します。発熱、のどの痛み、軽い咳、肩こり、鼻づまり、寒気がする、頭痛、筋肉の痛みに効きます。
葛根湯は風邪に対しては風邪薬として使われますが、他には肩こり、授乳中の乳腺炎や蓄膿症、鼻炎、肩こりから来る頭痛や腰痛、四十肩にも使われます。 ただし急性病に使う場合は発汗薬なので高齢者や虚弱な方、汗のかきやすい真夏の服用には注意が必要です。汗をかく事は体液を失う事になるからです。
漢方薬は自然のお薬であり、自然のルールに則って使われるので、今まで副作用は少なく使われてきましたが、現代の保険医療の中で決められたルールの病名に対して使う場合、あわない場合が出てきます。多くの診療科で数種類の漢方薬が処方された場合は注意が必要です。漢方薬はからだ全体を診て処方するものなので数人で診て数人が処方するものではありません。西洋医学はよいとして、漢方薬は東洋医学の専門家に診てもらう事をお勧めいたします。
No.68芍藥甘草湯は足のつり、こむらがえりに有効です。2種類の薬草からできていて数秒で効きますが、一時的なもので根本的な治療にはなりません。毎日続けて服用するような処方ではなく、急性症状に対する頓服です。
信頼できるかかりつけの医師や薬剤師を見つけて下さい。そして体調の事や養生の方法、サプリメント、心配な事を相談してください。