医王堂通信
としろぐ

ヒステリー球、咽頭神経症、喉がつまる?

2004.12.15

「喉がつまる」
「喉のつまり感」
「喉の圧迫感」
「咽喉異物感」
「喉が腫れぼったい」
「喉に玉のような物があるような気がする」
「飲み込みたいけど飲み込めず、出したくても出せない」
「首を絞められている感じ」
このような症状を経験された方は意外と多いのではないでしょうか?
西洋医学では「咽頭神経症」「咽喉頭異常感症」「ヒステリー球」といって、検査しても何も異常はないが、自覚症状はある。こういうことは意外とよくあることです。喉に玉?ボール?のようなものが詰まっている感じがすると言って病院に駆けつけますが、調べてみると特に腫瘍や、その他気になるものは見つからない。ストレスから?気のせい?気にしすぎ?でしょう。と。。。
すべてがそうではないと思いますが、この症状でお困りのお客様にはよくこういうことをお聞きします。ひどい方は発作のように息が出来なくなる方もいらっしゃいます。死ぬのではないかと思うくらい心配してしまう。しかも原因不明と言われたらもっと心配になります。
臨床的には神経性食道狭窄症、神経性食管痙攣、自律神経失調症、うつ病、ノイローゼ、更年期障害、バセドウ氏病、橋本病、喘息、シックハウス症候群などでお困りの方が、その病状と共にうったえる事が特に多い症状です。他には病気がなく、この症状だけの事もあるようです。
漢方医学では、喉や、食道付近にかけて何か物が痞えている感じ、引きつっていて吐こうとしても吐けず、飲み込もうとしても飲み込めず、或はムズムズ、イライラ、或は咳払いしたいような異物感刺戟感の訴えをどう考えるかと申しますと、古書にはこう書かれています。
「婦人咽中如有炙臠○○○○湯主之」
「ふじん、いんちゅうにしゃれん(火で炙った肉)あるがごときは、○○○○とう、これをつかさどる」
女性で、喉から気管にかけて、柔らかいお肉のような腫れぼったいものがあるような感じのする時は○○○○湯が効きます。
「胸満、心下堅、咽中帖帖如有炙肉、吐之不出、呑之不下」
「きょうまん、しんかこう、いんちゅうじょうじょうとしてしゃれんあるがごとく、これをはけどもいでず、これをのめどもくだらず」
胸が張ったり、呼吸しづらかったりして、みぞおちが硬く、つかえたりして、喉から気管にかけてイライラしたり、ちくちくしたり、違和感があったり腫れぼったいものがあって、吐き出そうとしてもだせず、飲み込もうと思っても飲み込めない病気に使う処方。
このように2000年前からこの症状について言われています。日本では「梅核気」とも言われておりましたが、西洋医学が中心の現在の日本では、不思議な病気として扱われ、主に神経症状が関係することから「ヒステリー球」という病名が付いたようです。漢方医学では婦人雑病論という病気のところに出ていますが、何も女性だけではなく、男性にもおこります。男性に比べて女性は五倍も多いそうです。自分も多少神経質なせいか??きめ細やかな性格のせいか???(本当?)一年に二~三回はあります。(←これは本当)
古人はこの病気を「気病」といっています。「喜」「怒」「悲」「思」「憂」「恐」「驚」の七気が結ばれて、水と共に塊となってのどのあたりに詰まって、発散できないでいる状態です。そこで漢方処方で水をさばき、気を発散させるとその形の無い塊が、音を立てるかのように「喉のつまり」がフッと消えます。重症の方や、慢性的な方はさすがに二~三回の服用で楽になることは厳しいですが、二~三日位しかたっていないような方であれば、速ければその場で分かる位、即効性があります。
この病気は「気」がからんでいるので、更年期症状と一緒に出ることもありますし、自律神経失調症や、喘息、バセドウ氏病や橋本病などの甲状腺の病気からも発生する症状です。その場合は「客症」といって根本となる病気のせいで出ている症状としての「ヒステリー球」で、こういう場合は根本の病気が良くならないと、なかなか「ヒステリー球」もなくなりません。漢方薬は体の全体の症状で処方をきめていくので、「ヒステリー球」は○○湯で全部が良くなると言う事はありません。正しく使うためにしっかり相談して服用しましょう。
漢方薬は東洋医学を自分で勉強してる医師か薬剤師にご相談ください。東洋医学の専門家に相談する事が早く治る近道です。目安としては、煎じる漢方薬を扱っていることです。
どうしても一番苦しい症状に気が集中してしまいますが、のどの症状には他の症状が付属する事も多くあります。そんな方はこちらも参考まで。
「私もパニック」
お大事にどうぞ。