医王堂通信
としろぐ
腸管免疫講座
2004.11.11
腸管免疫のしくみ
腸管は生命を維持するためのエネルギー源、栄養素を消化・吸収するための臓器です。
腸管免疫は、口から進入する異物(食べ物、病原菌)を区別し、吸収と排除の相反する働きをもつしくみです。
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免疫寛容
腸管では私たちの身体に必要か、害を及ぼすかを区別し、吸収・排除をおこなっています。
必要な物には免疫が働かなくなる現象を免疫寛容といいます。
生きるために摂る食べ物も異物として体内に入り、免疫系に認識されますが、これらの食べ物に対しては微生物やウイルスに対するような免疫応答は起こりません。
また、腸管には腸内細菌が存在しますがこれらに対しても免疫系は強くは反応しません。腸管は単に消化吸収としての機能だけではなく、生体の恒常性を保つ免疫系としての役割も担っています。 -
腸管の免疫は全身の粘膜に影響
腸管の免疫の働きは腸管に限定せず、身体中の粘膜の免疫に直接影響を及ぼしています。
私たちの身体の表面は皮膚と粘膜で覆われており、そのうち粘膜の占める割合が大部分で、ここでは全身系免疫システムとは異なる分泌型iga抗体が主役の特殊な免疫システムが存在します。粘膜組織には鼻腔、口腔、消化管、泌尿生殖器などがありますが、粘膜免疫の主役は腸管免疫です。 -
腸の不調は腸管の免疫を低下
腸の機能の不調(下痢、便秘、腸内細菌の変調など)は腸管の免疫機能を狂わせます。健全な消化管菌叢の役割として、★消化管における感染防御★消化管免疫の発達★消化管機能の調節★食餌性非消化炭水化物の分解・代謝★乳糖不耐症の改善★ビタミン類の生産及び腸管上皮に必要な栄養素の供給があげられます。
消化管菌叢の異常はそのままこれらの生理的役割が果たされなくなり、さまざまな病的状態を誘発する事になります。 - 腸管の免疫低下病気を招く腸管の免疫の常に関連した症状・疾患には感染症、アレルギー疾患、ポリープ、腫瘍、腸炎などがあります。
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粘膜の抗体s-igaの働き粘膜に分泌される抗体s-igaは、異物排除という働き以外に、母乳を通じて免疫力の弱い乳児の健康を守っているのです。粘膜面での細菌やウイルスの凝集、毒素、酵素、食物抗原の中和作用、粘膜面への細菌やウイルスの付着防止作用があります。
資料:医学のあゆみvol.199no.1他
腸内細菌の働き
- 健康と重要な関わりを持つ腸内菌叢人は母親の胎内にある時は完全無菌の環境で過ごします。しかし、生後1日目には新生児の糞便中に大腸菌、腸球菌、乳酸桿菌他が認められるようになり、総菌数は1千億/g以上に達します。成人では100種類・100兆個もの細菌が生息しており、これらの細菌を腸内細菌と呼び、腸内細菌の集団を腸内菌叢あるいは腸内フローラと呼んでいます。
- 腸内細菌の生態健康成人の糞便フローラの構成として、糞便1g当たりの総菌数は3000億~5000億個にのぼり、糞便の3分の1~4分の1は細菌で占められている事になります。最も多いのはビフィズス菌等の偏性嫌気性菌です。大腸菌等は常に検出されますが、総菌数の100分の1以下にすぎません。この様にうんちにはたくさんの腸内細菌が含まれ、食べカスだけではないと言う事です。
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腸内細菌の働き腸内細菌を構成する細菌は数も種類も多く、従って酵素の種類も多彩で肝臓に存在する酵素の種類をはるかに上回り、活性も高く代謝も多岐にわたっています。
毎日摂取される食事成分や腸内に分泌・排泄される生体成分は様々な物質に変換され、その結果、人の栄養・薬効・生理機能・老化・ガン・免疫・感染などに大きな影響を及ぼします。
腸内菌叢はビタミンやたんぱく質を合成していて、生体に利用されています。腸疾患の多くには栄養素の吸収障害が見られ、その一部には小腸フローラの異常と関係があります。
腸内にまったく細菌を持たない無菌動物は、普通の動物の1.5倍も寿命が長いことが知られており、腸内菌叢が生体の老化や寿命に関係しています。
悪玉の腸内細菌は食事から摂取されたたんぱく質、アミノ酸などを分解してアンモニア、アミン、硫化水素、フェノール、ステロイド化合物など生体に有害な物質に変え、細菌毒素も作られます。
そしてこの様な有害物質の一部は吸収され全身を循環あるいは臓器に蓄積され、生体に有害な影響を及ぼす事になります。
例えば、アンモニアは腸内菌によりたんぱく質・アミノ酸の脱アミノ反応、及び生体の解毒機構の結果排泄された尿素の分解から生成され、吸収されます。
アンモニアは健康体では肝臓で直ちに解毒され尿素となって排泄されますが、この時肝臓でエネルギーが消費され、アンモニアの量が多ければ肝臓に負担が掛かる事になります。
資料:ヘルシスト120号 腸内フローラと免疫応答他
大事なこと。
このようにやはり便通は毎日スッキリが基本です。
大体24時間ぐらいすると腸内のいろいろなものが発酵し、有毒ガスが発生するといわれています。
腸内は37度以上あるので食べたものが腐るのもあたりまえですね。
したがって下痢も便秘も良くありません。
しかもこれらの自覚症状が無くても毎日うんちはチェックするように心がけると、意外と★色が黒かったり(動物性タンパク質の取り過ぎと野菜不足)★浮かばなかったり(食物繊維不足)★においが臭い(動物性タンパク質の取り過ぎ)など、その日の体調の目安になるでしょう。
理想的なうんちとは?
★バナナ2~3本分
★力まないでスルスル、ツルンと出て、トイレットペーパーに付かない。
★黄金色で臭いわずか
★残った感じがしない
当店のお客様からのご相談でも、まず便通を良くするだけでご相談の他の症状がとれる事が良くあるように、便通は便通だけではなく他の病気にも関係しますので、まずおなかを綺麗にする事から始めましょう!