医王堂通信
としろぐ

「漢方の臨床」それは皮膚病ですか?

2023.3.14

日本の漢方の歴史の中で最も重要な専門誌「漢方の臨床」の2023年2月号に私の治験録が掲載されました。題名は「それは皮膚病ですか?」

漢方相談を長年続けていると様々な症例に出会います。その中でも当店は皮膚のトラブルのご相談が多くあります。皮膚科に行っても抗アレルギー剤や外用ステロイド剤では治らない皮膚の症状です。そこで問診を丁寧にして漢方薬を選びますが、皮膚病なのになぜ内服の漢方薬なのか?という疑問もあると思います。ここでは簡単に説明しますが、皮膚は内臓の鏡です。見えている皮膚だけでなく、肉体的にも心理的にも内面のバランスが悪いために症状が皮膚に出ると考えるので、漢方薬を内服して治療することがほとんどです。

今回の内容は一見皮膚病ですが、実は指定難病ITP「特発性血小板減少性紫斑病」だったという治験例です。血小板減少は血液検査をしなければわかりませんので、昔はわからなかったでしょう。

しかし、漢方医の治験例を読むと紫斑病にも種類があるようですが、効いた例が少なからず古書に書かれています。

この患者さんは数十年前にITP紫斑病が発病し脳出血で緊急入院した経験があるので、すぐに病院に行ってわかったそうです。著名な学会誌なので微妙な題名にしてしまいましたが、西洋医学では難病でも、東洋医学では改善できるというよい例になりました。
漢方はからだのバランスをどうとっていくかという事が難しいですが、おもしろい。少量でよく効きますね。もっともっと腕を上げなければ。
としお