医王堂通信
としろぐ

お味噌は万能薬

2006.4.20

毎日、お味噌汁は飲んでいますか?「お味噌汁の効果」について以前かきましたが、追加として細かくお話いたします。多少重複するところがありますが、ご勘弁を。
「味噌汁一杯三里の力」「味噌をつける」「着物、質に入れても味噌を煮ろ」と昔から言われてきたように、からだにとても良い、日本の伝統的な発酵食品です。
お味噌の原料である大豆は「畑のお肉」といわれるほど、たんぱく質をはじめ栄養素が豊富です。これに麹と塩を加えて発酵熟成させたのがお味噌です。お味噌は食品である一方、昔から薬としても重宝されてきました。江戸時代の食の本には次のように書かれているそうです。
「腹中をくつろげ、血を活かし、百薬の毒を排出する。胃に入って、消化を助け、元気を運び、血の巡りを良くする。痛みを鎮めて、よく食欲をひきだしてくれる。嘔吐をおさえ、腹下しを止める。また髪を黒くし、皮膚を潤す。」
大豆はお味噌になることにより、必須アミノ酸やビタミンなどが多量に生成され、さらにすぐれた食品になります。そして体にいろいろな良い効果があることがわかってきました。
「味噌汁をたくさん飲む人ほど、乳がんになりにくい」
女性にとって、こんなに嬉しい報告が平成15年の秋にありました。厚生労働省の研究班が、40~59歳の女性21852人を10年にわたって疫学的に追跡調査をした結果だそうです。それによると、お味噌汁を「1日1杯以下」の人に比べ「1日2杯」では26%、「1日3杯以上」では40%も乳がんの発生率が減少する事がわかったそうです。
乳がんの場合、女性ホルモンがその発生を促進させている事は知られていますが、乳がん研究班によると、大豆に含まれるイソフラボンが女性ホルモンの働きを邪魔して乳がんの発生を抑えているのではないかということ。同じ大豆製品でも、豆腐、油揚げ、納豆より、大豆を発酵させて作られるお味噌のほうが、その効果はいっそう顕著、という実験結果も出ているそうです。
「胃がん、大腸がん、肝臓がんなどの抑制にも効果的」
国立がんセンターの平山博士は、お味噌汁をまったく飲まない人は、毎日飲んでいる人にくらべて胃がんによる死亡率が50%も高い、という調査結果を出しているそうです。これは、お味噌に含まれる豊富なミネラル、およびお味噌が熟成する事によって生じる物質ががんを抑えるのではないかとして研究を続けています。
「胃潰瘍の防止効果」
お味噌には胃の粘膜を守る働きがあり、お味噌汁を毎日飲んでいる人は、まったく飲まない人に比べ胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍など胃の病気になりにくい。とくに60歳を過ぎると、その差ははっきりしてくるそうです。
「消化促進」
お味噌に含まれるたんぱく質は、発酵によりアミノ酸まで分解されているので、消化吸収がよいのです。お味噌にはさらに活性度の高い消化酵素が含まれているので、一緒に食べた食品の消化吸収も助けてくれる。
「整腸作用」
大豆の食物繊維が腸をきれいにし、お味噌のなかの微生物が腸内の腐敗菌や有害物を体外に排泄する。
「コレステロールの抑制」
余分なコレステロールは体内に溜まって血管に付着し、脳梗塞、心筋梗塞、血栓症などの原因になりますが、お味噌の主原料である大豆に含まれるサポニンは、血清コレステロールが上昇するのを抑え、レシチンや食物繊維はコレステロールを除く働きがあります。
「脳卒中の予防」
サポニンは動脈を若々しく保ち、カルシウムは血液が凝固するのを防ぎます。カリウムと食物繊維は余分なナトリウムを体外に出し、マグネシウムはナトリウムがたまるのを防いで、血圧が上がるのを抑える。その結果、動脈が硬化するのを防ぎ、脳卒中を予防します。
「骨粗しょう症への効果」
お味噌には骨代謝に関係するビタミンKとイソフラボンが含まれており、骨にカルシウムを沈着させ、骨質を強くする事への期待がもたれています。
「美肌効果」
皮膚や毛髪の色を決めるメラニンは、紫外線などの刺激に反応して増加し、シミやソバカスになる。お味噌に含まれる遊離リノール酸にはメラニンが合成されるのを抑える働きがあるので、お味噌汁を毎日飲む人は美肌効果が期待できます。
このほかにも「疲労回復作用」「老化の防止」「抗酸化作用」「動脈硬化の防止」「肩こりの解消」「動脈硬化の予防」「神経疲労防止」あげたらきりがないくらいすばらしい食品です。
みなさん和食を見直し、病気と友達にならないからだ作りを目指しましょう。基本は食事からですよ。
「主治医NO.517号より」