医王堂通信
としろぐ

薬草のお話し。「トリカブト」です。

2014.4.3

薬草のお話し。「トリカブト」です。

去年の猛暑で綺麗な花が咲かなくて今年は芽が出ないかなと心配しておりましたが、元気に育ってくれています。
ご存知の通り毒草であるトリカブトですが、漢方薬に配合される薬草です。トリカブトの根は短い牛蒡のようになっていますが、花の咲く9月から10月にかけて子供の根が母根の脇につきます。花が枯れ、葉も無くなると母親の根が無くなり、脇について育っていた子供の根が、来年の春になって芽を出し始め、秋には母親になります。
それで、母親の根が「烏頭」といい、秋の子供の根が「附子」といいます。アコニチンやヒサコニチンなどの毒をもった附子を洗い、ひげ根をとり、水で濡らした和紙で包み、それを真っ赤になるほど過熱した灰に入れて焙じます。
焼きいものようにホクホクになったら出来上がり。皮をむいて縦に8っつに切り乾燥させて出来上がりです。
それを漢方薬の煎じ薬や丸薬に混ぜるのです。
何故毒なのか。それはものすごく温めるからと私は考えています。冷やすことは盛んにやめなさいと言いますが、温めすぎるということも実は怖いのです。燃えてしまうから。要するに毒になります。
しかし、冷えている人や代謝が落ちていて危ない人には温める力が強いので、かかせないお薬になるという事です。そのため、体温が低いご年配の方には必要な薬味ですが、元気いっぱいの子供には使わないという事になります。あとは死にそうな時にも使います。
ということで、トリカブトは温める性質が強いので、東北や北海道などの寒い地方のものが上質とされます。
漢方の世界ではなくてはならない大事な生薬です。とりかぶと「烏頭・附子」